top of page


あらすじ〈内容抜粋・再編〉
村を取りまとめる五家のうち、古くからの名主とされ実質的な支配者である権力者『大神家』の一人娘である、「私」。
何不自由ない生活を送りながら、誰にも告げることの出来ぬ想いに胸を焦がしていた。
少し掠れた、テノール。怜悧で、端正な顔立ち。
魔魅とも呼ぶべき妖艶さを備えた、美しい父親への──赦されざる、思慕の念。
茹だるような暑さを過ぎ、夜風が梢を揺らす、晩夏。
──穏やかな眠気など一瞬にして吹き飛ばしていく【悪夢】が、はじまる。
両親の交合を目の当たりし、いまだ男の肌身の熱さも知らぬ処女であるはずの身の内が、父のものを欲してせつなく疼く夜…………
「私」は、この身を滅ぼすほどに激しく、狂おしい運命に翻弄されてゆくのであった────
bottom of page